サーバーの基本!
2024/06/12
バックアップの2つの指標(RPO/RTO)について
バックアップは企業にとって必要不可欠なものです。デジタルデータは機器の故障、災害、人的ミスなどで消失する可能性があり、これらを完全に防ぐことは不可能です。そのため、万が一に備えてバックアップを取る必要があります。しかし、バックアップの重要性が十分に理解されていない場合や、具体的な方法が分からず適切に実施できていないケースも少なくありません。
■バックアップの重要性
デジタルデータは、些細なミスやトラブルで瞬時に失われる可能性があります。重要なファイルの誤削除や誤ったデータでの上書き保存などの操作ミスは、多くの人が経験する問題です。また、ハードウェア障害でデータが読み取れなくなることも珍しくありません。さらに、ランサムウェアによるデータ暗号化被害も増加しています。こうした予期せぬデータ消失に備えるために、バックアップが重要となります。
企業が保有するデータには、一度失われると二度と復元できないものも多く含まれます。特に運用中のサービスのデータベースが消失し、復旧不能となると、企業の存続に関わる深刻な事態を引き起こす可能性があります。どれだけ注意してシステムを運用しても、障害を完全に防ぐことは不可能です。万が一に備えてバックアップを作成し、データ消失への対策を講じることが最終的にサービスや企業を守ることにつながります。
■バックアップの指標となるRPOとRTO
バックアップ計画を立てる前に、まずバックアップの要件を明確にすることが重要です。「どのデータを」「どの方法で」「どの頻度で」「どの期間保存するか」といった点が不明確では、具体的なバックアップ手法を決めることができないからです。
バックアップ手法は多岐にわたり、それぞれコストや復旧時間が異なります。理想的には、すべてのデータを高頻度で無期限に保存するのが最善ですが、現実的には手間やコストが増大します。安全性とコストはトレードオフの関係にあるため、データの重要度、更新頻度、サイズ、保存期間を考慮し、完璧を求めるのではなく、どこで妥協するかを判断することが必要です。この判断を定量的に行うための指標として、RPO(目標復旧時点)とRTO(目標復旧時間)があります。
■RPO(Recovery Point Objective)とは
障害が発生した際にシステムを過去のどの時点まで復元するかを定める目標値を「RPO(Recovery Point Objective)」といい、これは日・時・分・秒といった単位で表されます。RPOが短いほど、障害時に失うデータは少なくなります。例えば、RPOを1秒と設定すれば、障害発生の1秒前までのデータを復元できることを意味します。しかし、これは逆に、秒単位で継続的にバックアップを取得する必要があることを示しており、バックアップにかかるコストも増大します。
一方、RPOを1日と設定すると、バックアップの頻度は1日1回で済みます。この場合、バックアップのコストは低くなりますが、障害発生時には最大で過去24時間分のデータを失う可能性があります。1日に1回しか更新されないデータとリアルタイムで更新されるデータでは、求められるRPOが異なります。RPOはデータの更新頻度とバックアップコストを考慮し、不測の事態で企業がどれだけのデータを失うことに耐えられるかを特定するのに役立ちます。
■RTO(Recovery Time Objective)とは
システムの復旧までに要する時間の目標をRTO(Recovery Time Objective)と呼び、これはRPOと同様に日・時・分・秒の単位で表されます。RTOが短ければ短いほど、システムを迅速に復旧できることを意味します。しかし、RTOを短縮するためには、単にデータのバックアップを取るだけでなく、システム全体を冗長化して待機させるなど、ダウンタイムを短縮するための追加対策が必要です。RPOとRTOをどれだけ短縮すべきかは、システム停止がビジネスに与える影響を考慮し、慎重に決定する必要があります。これらの目標値は、企業の事業継続計画(BCP)とも密接に関連しています。理想的には、RPOとRTOは小さいほど良いのですが、コストを無視して最小値を追求するのではなく、ビジネスの規模やニーズに応じた最適な値を見つけることが重要になります。
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