復元できないファイルがあった

まずは、ファイル復元の流れを理解しておきましょう。

ファイル復元の基本的な流れ

ファイル削除の仕組み

まず、ファイルが削除されたときの仕組みを知ることが重要です。

一般的に、ファイルを削除しても実際にデータが完全に消えるわけではありません。

ファイルシステムは、ファイルの存在を示す情報（インデックスやファイルの場所の情報）を「削除済み」としてマークし、ストレージ上では空き領域として扱われるようにします。

しかし、実際のデータはそのまま残っているため、他のデータが上書きされるまでは復元が可能です。

復元の準備

削除されたファイルの復元には、削除直後からできるだけストレージにアクセスしないことが大切です。

アクセスや新規のファイル書き込みが行われると、削除されたファイルが上書きされるリスクが高まります。

復元作業に取りかかる際は、専用の復元ソフトを使用するなどの準備を行います。

ファイル復元ソフトによるスキャン

ファイル復元ソフトウェアは、ストレージ内の空き領域をスキャンし、削除されたファイルの痕跡を探します。

ファイルシステムがマークした「空き領域」の中に、削除されたファイルの情報が残っていれば、それを探し出しリストに表示します。

この段階で見つかったファイルは復元可能と見なされます。

ファイルの復元

スキャン結果から復元したいファイルを選択し、復元操作を行います。

ファイルシステム上で復元操作をすることにより、元のデータを新たな場所にコピーしたり、ファイルシステム上で「削除されていない」状態に戻すことが可能です。

ファイル復元の仕組みと原因を理解することで、適切な対策や予防策を講じることが可能です。

次に、よくあるファイルが復元できない原因をいくつか紹介します。

原因① 上書きされている

削除されたファイルは、すぐに完全に消えるわけではありません。

実際、ファイルシステムは「削除された」という情報を記録しますが、データ自体は物理的に残っています。

しかし、削除された領域に新しいデータが保存されると、元のファイルが上書きされてしまいます。

この上書きが進むと、復元ソフトでは元のデータを読み取ることができなくなります。

特に、削除後に多くのファイルを書き込んだり、大容量のファイルを保存したりすると、上書きのリスクが高くなります。

原因② ファイルシステムのエラーや破損

ファイルの復元にはファイルシステムの整合性が必要です。

ファイルシステムが破損したりエラーが発生したりすると、削除されたファイルのインデックスや保存先情報が失われ、復元が困難になります。

例えば、ハードディスクのクラッシュやOSの不具合により、ファイルシステムが損傷することがあります。

こうした場合、復元ソフトではファイルの場所を特定できず、完全に復元することができないことがあります。

原因③ 完全消去やセキュリティソフトの利用

一部の消去ソフトやセキュリティ対策ソフトでは、ファイルを「完全消去」する機能を備えています。

この機能は、ファイルが復元されないように元のデータを上書きして消去する仕組みです。

これにより、復元ソフトでは削除されたファイルを見つけることができなくなります。

特に、企業や個人が機密情報を保護するために利用するこの方法は、データ復元の可能性を完全に排除するものです。

また、OSのセキュリティ機能でも定期的にファイルを完全に消去する設定がされている場合もあり、この場合は復元が事実上不可能になります。

これらの原因によって、削除されたファイルが復元できないことがあります。 次に、これらの原因に対する具体的な対処法を見ていきましょう。

解決策① 上書きされている

削除されたファイルが上書きされてしまった場合、そのデータは完全に消失している可能性が高く、復元は非常に困難になります。

解決策としては、削除後にストレージに何も書き込まず、復元ソフトを使ってスキャンを試みることです。

なるべく早く行動し、ファイル復元ソフトを使って削除されたデータをスキャンし、復元を試みてください。

復元できた場合は、できるだけ早くデータを外部ストレージに保存することをお勧めします。

解決策② ファイルシステムのエラーや破損

ファイルシステムのエラーや破損が原因で復元できない場合、まずはファイルシステムを修復するためのツールを使用することが有効です。

WindowsやMacには、ディスクエラーの修復を行う標準機能が搭載されています。

例えば、Windowsの場合は「chkdsk」コマンドを使ってディスクの整合性をチェックし、修復することができます。

Macでは「ディスクユーティリティ」を使って修復を試みることが可能です。

これらのツールを使ってファイルシステムのエラーを修正した後、再度復元ソフトを使用して削除されたファイルの復元を試みることができます。

ファイルシステムが修復されると、復元ソフトが正しく動作しやすくなります。

解決策③ 完全消去やセキュリティソフトの利用

完全消去やセキュリティソフトがファイルを上書きして完全に消去している場合、復元の可能性は非常に低くなります。

こうした場合、復元ソフトを使用してもほぼ復元は不可能です。

解決策としては、ファイルを削除する際に完全消去機能を使用しないことが最も効果的です。

また、重要なファイルは定期的にバックアップを取っておくことも大切です。

バックアップを取っていない場合でも、データ復旧専門業者に依頼する方法があります。

専門業者は、物理的な損傷や完全消去が行われた場合でも、可能な範囲でデータ復元を試みることができます。

これらの解決策を実施することで、復元できないファイルの回復の可能性を最大化することができます。

いかがでしたか？

今回は、復元できないファイルがあった場合の対処法を解説しました。

大事なデータを守るため、今後の対策をしっかりと考えておくことが、安心につながります。